生粋の温泉民謡「山中節」 ~浴衣娘(ユカタベー)の心唄~
2006年 08月 24日
「山中温泉縁起絵巻」 を見ても分かりますように、昔はお湯に脱衣所がありませんでした。
浴衣娘(ユカタベー)は、宿屋からお客様についてお湯に行き、その浴衣を持って待っているという、お客様のお世話をする仕事をしていたそうです。
外で待っている間、湯治に来たお客様がお湯の中で「追分節」を唄っていたのを
聞惚れたユカタベーが、山中弁でなまって唄いだしたのが「山中節」と言われています。
湯治に来たお客様に想いを寄せるユカタベーの心情が歌詞に表れていて、
「出会いと別れ」を描いた「山中節」は、どこか優しくも切ない、深みのある曲といえます。
「浴衣肩にかけ 戸板にもたれ 足でろの字をかくわいな」
「送りましょうか 送られましょうか せめて二天の橋までも」
こうしてお湯の中から生まれた「山中節」は生粋の温泉民謡なのです。